タイパーインタビュー17:isseiさん、めたるさん、3の倍数さん
たのんさん主催の タイパーアドカレ2023(2枠目)、11日目の記事です(空き枠があったので、この記事は12月23日に登録・公開しています)。
前日の記事はテトラさんの Typing (is) Nonsense を頑張った話です。
今回は「タイパー甲子園」の運営をされている、isseiさん、めたるさん(@metaru_5201PC)、3の倍数さん(@3bai_typing)にお話をうかがいました。
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——それではまず、タイパー甲子園というイベントについて簡単に教えてください。
issei
タイパー甲子園は、Weather Typingを用いたタイピング大会となっています。初回は2020年に108万打鍵チャレンジ内でスタートした企画でした。
もともとはタイピングの大会自体も少ないこともあり、自分がREALFORCE TYPING CHAMPIONSHIP(以下RTC)を見ていてこんな豪華な大会を開いてみたいというのがきっかけです。それでタイパー甲子園をRTCに次ぐ大会にしていきたいと思いスタートさせました。ただし最初からRTCのようなレベルが高い大会だと参加する方もなかなか参加しづらいということで、よく知られているWeather Typingの公式ワードを使用したり、正確性縛りの設定は取り除きました。
——実際にタイパー甲子園を開催してみていかがでしたか?
issei
やっぱり人が集まってくれることはうれしかったですね。その分、レベルが上がっていくのも楽しみですし実況していても見応えがあります。また他にも、大会があることで参加者の皆さんのモチベーションやこちらのモチベーションも上がるのはいいところだなと思いますね。
やっぱり難しいこととしては、進行とか実況ですかね。特にタイピングにおける実況に関しては、展開が早いので他のスポーツとかに比べても、何を実況して何をカットするかが非常に難しいですね。また、進行に関してもどういうところの試合を配信で映すかによっても盛り上がり方も全然違ってくるので最初のほうは難しかったですね。
——一方でめたるさんも、2021年にはタイピング大会を開きたいということでツイートをされていましたよね。開こうと思ったきっかけは何ですか?
めたる
小学生のころから自分で企画した遊びをクラスで共有して休み時間でやったりと、自分が主催した企画にみんなが参加して楽しんでもらうことが好きな性格だったので、中学生のころからは自分のはまったゲームがあればそれで大会を開いたりもしていました。
そして高校に入りタイピングを本格的に始めていろいろな人とも関われるようになったので、このジャンル(タイピング)でも自分主催の企画をやってみたいなと考え、例のツイートをした次第です。
issei
このツイートは見てましたね。大会を開いてみたいってときからめたる君には目を付けてました。
めたる
初耳だ...
issei
いや、まあ言ってないしw
もともとタイパー甲子園を始める前って、タイピングのオンライン大会はたのんさんの「Warriors of Typing」しかなかったと思うんですよ。それで大会がどんどん開かれていくのは楽しみだなと思って見てました!
——そしてその翌年、第2回のタイパー甲子園を2022年に開催されていますね。
issei
そうですね。最初のころは初めての試みということもあって躊躇もありましたが、やらなければ意味がない!ということで継続していきました。
——めたるさんも第2回ではまず参加者としてタイパー甲子園に参加したと思うのですが、プレイヤー側として参加してみていかがでしたか?
めたる
これは今も変わらないのですが、「ぜんぜん勝てねぇ」というのが率直な感想でした。
こんな実力でも学校や部活の先生含めてもまったくの敵なし状態だったので、当時の大会に参加したての頃は結構心を折られたのを覚えています。
ただオンラインで同時進行の試合に参加してタイピングを競うという経験はとても楽しかったので、タイパー甲子園には今後も参加したいなと考えていました。
3の倍数
自分も初めて大会に参加したとき似たような感じでした!リアルで自分よりタイピング速い人にあう機会はなかったので、大会に参加して改めて世界の広さを知ったみたいな。
issei
めたる君の実力も、普通の人なら間違いなく速いレベルだと思うんですけどね。
その時はかなり強い人も下位のほうにいたので、レベルが高いなと思って見ていた記憶があります。
——isseiさんも、タイパー甲子園では運営ですが、たのんさん主催のWarriors of Typingなど他のイベントでは参加者として参戦されていますよね。参加者目線で、みなさんにとってタイピングの大会に出ることにはどのような魅力がありますか?
issei
上級者、初心者にかかわらずなかなかタイピングで対戦できる機会って少ないと思うんですよね。大会に参加することで自分の実力もはかることができるし、モチベーションも上げることができるのでそこは本当に楽しいですね。
3の倍数
大会でしか味わえない一発勝負の空気が個人的には大好きです!e-typingなどで記録を狙うときとはまた違った緊張感があって、選手としての実力が出たり、そこから駆け引きが生まれたりするのが面白いなって感じます。
めたる
タイピングは実力が数字として出るのでほかの競技に比べて実力が測りやすくはありますが、対人と緊張感や一発勝負の雰囲気などが加わって、1人の時の実力とはまた違った結果になることもあるので、そこが面白いと思っています。
issei
運営側でも参加者の緊張感はやっぱり感じますね。配信している試合を見ていても、この対戦の結果がどうなるのかなとか。特に実力が近い同士の対戦だと、一発勝負なので結果がどうなるか分からないんですよね。それで配信にしたりするんですが、やっぱり近い人同士だとこちらも熱が入りますね。選手としては緊張すると思いますが、見ていてわくわくするところでもあります。
——そして2023年のタイパー甲子園からは、めたるさんも運営に加わったんですよね。
めたる
確か去年の11月ごろにisseiさんの発端となるツイートがあって、それに僕が反応したところからだったと思います。
その後でisseiさんと2人でタイピングのeスポーツ化について色々語り合ったんですけど、まずは既存の大会を大きくしてタイピングの知名度を高めていきたいという話になりました。その第一段階として、2023年のタイパー甲子園では1年かけて予選を開き、その集大成として年末にTHE FINALを開催しようという話の流れだったと思います。
issei
今やさまざまなゲームがeスポーツ化する中で、タイピングもeスポーツ化してほしいと感じたんですが、RTCだけでは足りないって考えたんですよね。
自分たちもタイピングをeスポーツ化させていくために、RTCのような集大成の大会を開いて、どんどんいろんな人に広めていってほしいなと思いました。
めたる
タイピングの経歴や実力、大会の運営経験も少ない中でこのような規模の大会の運営に携わるのはなかなかハードでしたが、少しずつisseiさんのやっていた仕事を任せてもらったり、YouTubeをやっていた経験を活かしてサムネイルやOBSの設定などを自分でするようになったりと、知識を吸収しつつ自分の強みを発揮できるように色々と試行錯誤してきた1年でした。
予選のルールの方は、幅広い実力の方に参加してもらえるように公式ワード1に固定し、ワード数15、正確性縛りなしというルールにしていました。
issei
まずは挑戦してみて、失敗してもいい!という感じでやってましたね。
——3の倍数さんは、今年4月からタイパー甲子園にまずプレイヤーとして参加したんですよね。
3の倍数
RTCを見てから競技タイピングのことを調べていて、その時にタイパー甲子園のTwitterアカウントを見つけたことが参加のきっかけでした。当時まだ自分には参加は早いと思っていたのですが、年の近い仲のタイパーさんに誘われて参加したのが最初だったと思います。
元々1人でタイピング練習をしているときにパソ活さんのブログを良く見ていて、その中の記事でRTCを初めて知りました。「自分とは程遠い世界だな」と思った記憶があります。そのときに少し調べて隅野さんやmiriさん、mullerさんの存在は当時から知っていたと思います。
最初はタイパーと関わることも考えずにタイピング用のTwitterアカウントを作って、すごそうな人たちをフォローするところから始まりました。本格的に関わり始めたのはHiggsTypingというゲームのdiscordサーバーに入ったときでした。そこでタイパーとして人と関わろうという意識が強くなって、その勢いでタイピングパーティーに入って、気づいたらisseiさんに「3倍!」って呼ばれていました。
issei
また独特な子が入ってきたなという感じではあったんですよね。
3の倍数
独特!?
issei
ほら・・・名前とか・・・
3の倍数
www
isseiさんとのDMを確認したのですが、2回目のやり取りの時点ですでに呼び捨てになっていました。
——3の倍数さんはどういう経緯で運営に参加することになったんですか?
3の倍数
8月末頃くらいにisseiさんが「もう一人くらい運営がいたら楽なんだけどな」みたいなことを言っていて、そのまま話の流れで「THE FINALに出られなかったら運営に参加する」みたいに半分冗談を言い合っていたところだんだん現実味を帯びてきて、気づいたらTHE FINALの運営に参加することになっていました。
issei
今考えれば本当に頼もしかったですね。多分、2人ではTHE FINALは回せていなかったと思います。自分たちでは考えていない視点で進め方も提案してくれました。
めたる
僕としてもめちゃくちゃうれしかったです。
もちろん参加メンバーが増えたこと、高校生で同い年の子と一緒に企画を進められることも1つですが、何よりも最初のミーティングの時から自分の考えを躊躇なく発言してくれたのでとても頼もしく感じていました。僕よりもしっかりしているので大会全体の構成や割り振りなどを決めるときにも色々と手伝ってもらって、振り返ると本当に3倍なしでは開催が難しかったんじゃないかなとも思います。
3の倍数
そう言ってもらえるとすごく嬉しい……。
——今年一年間の予選を振り返ってみて、印象に残っていることはありますか?
issei
THE FINALへの出場枠は全部で8人設定したのですが、やっぱり12月2日の「THE FINAL前夜祭」で決定した最後の8枠目が印象に残っていますね。運営サイドもラストの8枠目が順位決定戦で決まるとは思ってもみませんでした。
3の倍数
ラスト8枠目のごんさんvsれんこんさんは一番熱かったと思います。ラスト一枠が順位決定戦で決まるというだけでもすごいのに、試合内容もごんさんがリードしていたところをれんこんさんが追い上げて取り切るという展開だったので、これ以上ないくらいの戦いだったと思います。
めたる
個人的には10月開催の第9回タイパー甲子園で決定した、7枠目のたのんさんも印象に残っています。ずっと出場していただいていて普段から交流のある方というのもあるのですが、それまでの予選では試合の当たり方などの運要素でかなり苦しめられていた1人だったと思うので、7枠目にして実力を発揮しきって優勝&出場権を獲得した時はとても嬉しかったです。
一年間の予選を振り返ってみて、試合ルールはあまり問題を感じていないものの、システム的にはまだ改良の余地があるかなと思っています。荒らし対策も段階的に改良していきましたが、今後安定した運営を継続するためにも大会の参加方法から改善を続けていきたいです。
issei
今後は、オープニングをつけたり、もっといろいろリニューアルしていきたいですね。
——予選を踏まえて、12月3日に行われたTHE FINAL本戦のルールはどのように考えましたか?
めたる
やっぱり、まずはRTCのルールを準拠に決めていきましたね。ただし正確性95%だとさすがに高いし厳しいということもあって、90%でもよかったんですけど初回ということもあって85%になりました。
僕が意識していたのはほかの大会との差別化です。今回のTHE FINALの参加者の方はRTCと被っている方も結構いたのですが、その人の実力を別の形で引き出して差別化しようと思い、スピード重視で圧倒的なタイピング速度を見てもらおうと考え85%というルールにしました。
——THE FINALで印象に残っている場面はありますか?
3の倍数
星凪(seina)さん vs memさんの試合とか、見ていてすごく緊張感がありましたね。
issei
その試合は実況する前からワクワクしてました。カード抽選の時点で、すごいいいカードになったなとは思っていましたね。最初はseinaさんが負けたんですけど、ルーザーズで再戦してラウンドが1-1になったときは実況としてもワクワクしながらもドキドキしていました。
めたる
お二人とも(たぶん)同世代で実力も拮抗していて、得意ワードも被っていたことに加えて、まず最初にmemさんが勝ってからの、敗者復活でのリベンジマッチという時点でかなり注目していました。
最後も接戦で、取得ワードが14vs14になったところでmemさんが取り切ったもののギリギリ正確性が足りずに勝敗が決まるというところに、THE FINALのルールならではの名試合を見ることができたと思います。
3の倍数
星凪さんの2000kpm超はとても印象に残っています。あの瞬間が一番熱かったんじゃないかなと。
issei
他にはやっぱり、muller選手の「優勝しに行きます」は強気だなと思いました。でも、結果は本当にさすがでしたね。
THE FINAL自体は本当にやってよかったと個人的には思ってます。最初は「できればやりたいな~」くらいの気持ちでしたけど、実際に試合を見ていてRTCを観戦しているような感覚になりました。
RTCを現地で見ていたときも、接戦のシーンとかで観客側から「おお~!」っていう声が出たんですけど、実際、実況をしていても熱いシーンで歓声のような声が出そうになってしまったところがありました。
めたる
THE FINALまでを振り返って、とりあえず1年通して大会の運営ができたことと、1年前に考えた企画をしっかりと実行に移してやり遂げたことが1つ大きなものとして残ったかなと思います。
ただいろいろと課題が残った大会でもあったので、THE FINAL2024ではフルモデルチェンジのつもりで一から構成を考えて、より参加者の方、視聴者の方に楽しんでもらえるような大会づくりをしていきたいです。
3の倍数
個人的には全体を通してたのんさんのプレーや振る舞いが印象に残っています。勝つためにあまり使われない公式ワード2を練習していたり、自分の順位が確定したあとも配信で観戦をしてくれていたりと、大会に対して前向きに参加してくれていた姿がとても印象的でした。
THE FINALは楽しさと忙しさが同じくらいあってとても充実した時間を過ごすことができました。本番でやることが多いのはもちろん、準備段階で決めなくてはいけないことが非常に多くて、連日打ち合わせしたところが一番大変でやりがいを感じていました。
——タイパー甲子園は今後、どういう人に参加してもらいたいですか?
めたる
初心者の人ほど参加してほしいです!
タイピングをひたすら1人でやるのも楽しいですが、みんなでやるタイピングもとても魅力的なものだと思うので、ぜひその最初の一歩として大会を使ってほしいと思います。
issei
どなたでも気軽に参加していただけますよ!ってことを伝えたいですね。やっぱり大会って聞くと、皆さん結構お堅いイメージを持っている方もいるでしょうし、自分はまだまだ…って思う方もいて参加しない人もいると思うんですよ。
だから、大会ってこんなに楽しいんだ!参加しやすい!ってことを感じてほしいですね。
3の倍数
大会は普段関わりのない人と戦える機会になったり、逆に関わりがある人との競い合いの場にもなるので、知り合いを誘って気楽に参加してほしいな〜と思っています。
——最後に、今後のタイパー甲子園についての抱負などをお聞かせください。
3の倍数
自分はまだ来年運営に参加するか未定なのですが、運営に参加するとしたらTHE FINAL以上の働きができるように頑張ります!運営にならなかったとしても選手として甲子園には出場し続ける予定なので対戦よろしくお願いします!
めたる
今年は本当に新たな始まりの年だったと思うので、来年は今年1年の大会で得た経験を生かして、もっと参加者、視聴者の方々に楽しんでもらえてずっと愛されるような大会にできるように、お二方と協力しながら改善を続けていきたいと考えています。
issei
今年は、いろいろとチャレンジをした1年でしたが、実りもあり課題もあった1年だったと思います。来年以降もTHE FINALをやっていきたいと思っているので、どういうふうにしたらいい大会にできるか運営サイドで話し合っていって、より良い大会にしていきたいですね。
そしてTHE FINALを目指す人がどんどん増えてきたら嬉しいなと思います。
◆ ◆ ◆
isseiさん、めたるさん、3の倍数さん、ありがとうございました!
タイパー甲子園の今後の情報は、Xのタイパー甲子園運営アカウントにて告知されると思うので、そちらもぜひフォローしてみてください。
今年のタイパーアドカレは2枠あり、たくさんの記事が公開されていますのでまだ読まれていない方はぜひ覗いてみてください。
特に2枠目は、まだ空き枠もたくさんあります。「内容に関しては、タイピングに関することでも、そうでないことでも、どのような内容でも大歓迎です!」とのことなので、何か書きたいことがある方はぜひ参加しましょう。
ちなみに今回インタビューに答えていただいためたるさん、3の倍数さんもアドカレに記事を書かれていますので、ぜひそちらもチェックしてみてください。
また、私(かり~)も今年はいくつか記事を公開していますので、そちらも興味があればどうぞ。